あなたの知らないオクトパス

驚きの能力や知性の秘密を探ってみよう

2024.04.30
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ムラサキダコの雌の腕と腕の間には「傘膜」と呼ばれる膜があり、広げると体が大きく見える。雌の重さは、最大で雄の4万倍もある。(PHOTOGRAPH BY STEVEN KOVACS, BLUE PLANET ARCHIVE)
ムラサキダコの雌の腕と腕の間には「傘膜」と呼ばれる膜があり、広げると体が大きく見える。雌の重さは、最大で雄の4万倍もある。(PHOTOGRAPH BY STEVEN KOVACS, BLUE PLANET ARCHIVE)

この記事は雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版2024年5月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

変幻自在に姿を変え、道具を使い、献身的に子の世話をするタコ。その驚きの能力や知性の秘密を探る。

視点を変える

賢く適応力に優れたタコ。最近の研究が、私たちの見方を変えつつある。

 丸い袋のような体に付いた8本の腕をくねらせ、墨を吐く生き物。そんなイメージのあるタコが、北欧の海の怪物クラーケンからアニメ映画『リトル・マーメイド』の魔女アースラまで、さまざまな物語に着想を与えてきたのも不思議ではない。だが本当のタコは、賢く、好奇心旺盛で、個性あふれる生き物だ。写真家のデビッド・リトシュワガーは、米ウッズホール海洋生物学研究所のロジャー・ハンロンの研究室や、イタリアのフェデリコ2世ナポリ大学の動物学教授アナ・ディ・コズモの研究室を訪れ、タコが皮膚の色や質感を変える様子や、餌を選ぶ様子などを何週間もかけて撮影した。およそ300種にのぼるタコの研究は、ヒトの脳の進化の起源について理解し、私たちとは異質の知性について想像をめぐらせるうえで役に立つ。

アフリカ沖のインド洋に浮かぶコモロ諸島の浅瀬で、狩りをするワモンダコ。タコは熱帯海域の浅瀬に多い。(PHOTOGRAPH BY GABRIEL BARATHIEU, MINDEN PICTURES)
アフリカ沖のインド洋に浮かぶコモロ諸島の浅瀬で、狩りをするワモンダコ。タコは熱帯海域の浅瀬に多い。(PHOTOGRAPH BY GABRIEL BARATHIEU, MINDEN PICTURES)
これまでに確認されているタコはおよそ300種。沿岸部から極端に深い海まで、地球上のさまざまな海域に生息する。現在の頭足類の最古の祖先は約5億3000万年前に現れ、複雑な行動と能力を示す知能の高い生き物へと独自の進化を遂げた。(グラフィック=フェルナンド・G・バプティスタ、ローソン・パーカー)
これまでに確認されているタコはおよそ300種。沿岸部から極端に深い海まで、地球上のさまざまな海域に生息する。現在の頭足類の最古の祖先は約5億3000万年前に現れ、複雑な行動と能力を示す知能の高い生き物へと独自の進化を遂げた。(グラフィック=フェルナンド・G・バプティスタ、ローソン・パーカー)

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