国境を越え36の村が結集、「ここでしか味わえない」極上のアルプス体験

「いつか訪れたい旅先25 2023年版」第23回 冒険編

2023.07.08
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ウィンタースポーツが盛んなオーストリアのケルンテン地方には、「ベルクシュタイガードルファー」(登山の村々)と呼ばれる、山村ネットワークがある。(PHOTOGRAPH BY WESTEND61, ALAMY STOCK PHOTO)
ウィンタースポーツが盛んなオーストリアのケルンテン地方には、「ベルクシュタイガードルファー」(登山の村々)と呼ばれる、山村ネットワークがある。(PHOTOGRAPH BY WESTEND61, ALAMY STOCK PHOTO)

 美しい山々を守るために、山間の村々が動き出している。東アルプス山脈に位置する標高の高い村々は、世界中の冒険好きな旅行者たちを呼び込もうと、2008年から一丸となってきた。1年を通してハイキングやサイクリング、登山が楽しめるし、冬にはクロスカントリー・スキーやアイスクライミングもできるのが売りだ。

「ベルクシュタイガードルファー」(登山の村々)と呼ばれる、この山村ネットワークには、オーストリア西部のチロル州やケルンテン州を中心に、スイスやドイツ、イタリア、スロベニアの36の村が参加している。ベルクシュタイガードルファーは、山岳地帯の美しい景観を乱開発から守る役割を果たすと同時に、村の文化や伝統が失われるのを防いでもいる。山村ネットワークはスキーロッジの無秩序な建設やケーブルカー敷設といった大規模な観光開発プロジェクトに反対し、環境にやさしく、持続可能な山岳観光を重視している。

「私たちは無理に背伸びをするつもりはありません。ここでしか味わえない正真正銘の山の体験をしたい人たちにアピールしたいんです」と話すのは、オーストリア山岳協会のバーバラ・ライトラー氏だ。ベルクシュタイガードルファーのウェブサイトでは、ホームステイできる農家に関する情報や、山歩きで疲れた後に食べたい、地元の伝統料理などが紹介されている。

 ライトラー氏がお気に入りの村は、オーストリアのゲゾイゼ国立公園に位置するヨーンスバッハだ。景色がドラマチックだという。「川に沿ってエンス渓谷を進んでいくと、突然、ゲゾイゼ山地の峰々が目に飛び込んでくるんです。まるで、別世界に紛れ込んだ感じがします」

ギャラリー:いつか訪れたい旅先25 2023年版(画像クリックでギャラリーページへ)
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西アフリカ・ガーナ(PHOTOGRAPH BY PER-ANDERS PETTERSSON, GETTY IMAGES)
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※「いつか訪れたい旅先25 2023年版」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。

文=NATIONAL GEOGRAPHIC STAFF

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