メキシコのバハカリフォルニア半島の南端から500キロほど沖合に位置するレビジャヒヘド国立公園。4つの島を中心とした、この15万平方キロほどの海洋保護区は、完全に保護された海洋公園としては北中米で最大だ。ここには、シュモクザメからザトウクジラまで、熱帯海域に生息する大型動物が北中米のほかの海域では見られないほど多く集まっていて、「メキシコのガラパゴス」とも呼ばれている。そのため、4つの島の周辺海域に、ダイバーたちが押し寄せるようになった。
「世界で唯一と言えるかはわかりませんが、この公園は巨大なマンタのすぐそばまで近づける数少ない場所です」と話すのは、海洋生物学者で海中映像作家のエリック・ヒグラ氏だ。氏によると、体重1.5トン、横幅8メートルにも成長するマンタは、ダイバーたちが吐き出す泡を腹部に当てるのが好きなようだという。
ハンドウイルカも人間に興味があるようで、ダイバーに向かって泳いできては、あれこれと詮索するような様子を見せる。「野生のハンドウイルカとそんなに近づけるなんて、すごいことです」とヒグラ氏は言う。「お互いの存在に、興味津々なんですね」
生きものたちへの影響を最小限にするため、公園では1日に許可されるダイビングボートとダイバーの数が制限されている。ボートの予約が2年先まで取れないなんてことも、レビジャヒヘドでは珍しいことではない。忘れてはならないのは、生きものに対し、常に敬意を払い、距離を置くということだ。
※「いつか訪れたい旅先25 2023年版」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。